一筆入魂

フリーライター/編集者 山下久猛のブログ

2010
08/07
仕事人インタビュー

[サトシンさんインタビュー 9] 「ソング絵本」誕生秘話2 お母さんの歌」

毎日暑いですね。絶賛夏本番中という感じですが皆様いかがお過ごしでしょうか。私は小笠原とか肉のエアーズロックとか雲南とか温泉とかスロージョギングとかビアガーデンとか豪華客船とか超贅沢宮崎牛BBQとかにプールパーチーとかカラオケとか花火とか映画とか取材とか執筆とかとかとか、けっこう充実した夏を過ごしています。

そのせいで書きたいネタはいくらでもあるのですが、7月は1度も更新しておりませんでした。しかもこのブログを始めて一周年記念だというのに。いかんいかん。

というわけで久々の更新です。

今回は、現在、NHK「みんなのうた」にて作詞と歌を担当した「きみのきもち」が絶賛放送中のサトシンさん。今回はそもそもソング絵本企画の発端となった歌について語っていただきました。


IMG_6980.JPG
※レコーディング風景


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ソング絵本「お母さん
IMG_8836.jpgその8から続く)
──「お母さん」テーマの歌をつくっていますが、その構想ってどんな感じで始まったんですか?

サトシン きっかけは、「おてて絵本」の活動をするようになったことですね。講演やワークショップでいろんなところを回るようになって気づいたことがあって。当然ながらどの会場へ行っても、子供の後ろには必ずお母さんがいるわけですよね。で、イベントが終わるとお母さんたちが集まってきて井戸端会議的になることってよくあるんです。

そういったとき、お母さんたちに「サトシンさんはいいですよね」と言われることが多いんですよ。なんで?と聞くと、「サトシンさんは専業主夫の時代もあるし、子供のこともわかって育児もやってくれるし、お母さんたちの話もよく聞いてくれるからいい。それに引き替えウチの旦那なんか、仕事だけしてればいいと思って、子育ては私に任せっきり。もう会話すらもない。子供もいつもかわいければいいけど、憎たらしいときの方が圧倒的に多かったりして。そんなことを考えてると、こんな子、産まなきゃよかったと思うこともよくあるんです」と。

──へぇ...そこまで...

サトシン 元気なお母さんは友達同士でご飯を食べに行ったりしてストレス発散や気分転換ができるんだけど、そういうこともできなくて、「子供なんて生まなきゃよかったのに」って思っちゃう自分が許せなくなって、またそれで自分を責めてしまう。感情がセーブできなくなって、ついつい暴力も働いちゃったりする。実家は遠い、友達もいないから相談もできない、家の中で孤立しちゃってどんどん負のスパイラルに陥っちゃうお母さんも多いらしい。そんな話をしていると、ほかのお母さんたちも「そうそう」ってうなずいてるんですよね。

──やっぱりお母さんってたいへんなんですね。

サトシン だけどそんなこと考えてどうすんの?って聞くと、うーんって考えながら、でも子供が生まれたときのことを考えるとあんなにたいへんな思いをして生んだわけだし、生まれてきた命はやっぱり慈しむべきものと思えるし、あんなにたいへんな思いをして生んで頑張ってきた自分もほめてあげたいと思えるし、そういうことを考えると明日も頑張ろうかなと思えるかなあ、と言うお母さんがけっこういるんですよね。

──そこはお母さんならではの思いですよね〜。

IMG_8809.jpgサトシン そういう話を聞くと僕も、ああ、そうなんだ、よかったねって思えるわけ。でも、ある日ふと朝起きたときにそうか!と気がついたわけですよ。「あ、母さんたちにとってみると、子供を生んだ日のことを思い出すってことがすごくいい影響を及ぼすんだなと。思い出がサプリになるっていうか、どんなにいいお薬を飲むよりも、子供を生んだ日のことを思い出すってことでお母さんたちは心の安らぎを得られ、明日の活力さえ沸いてくるんじゃないかと。

僕は絵本で表現をすることを仕事にしようと思っていろんな企画を考えていた時期なので、ああ、これはちょっと形になりそうだなと思ってお母さんたちに会う機会があると、とにかくお母さんに子供を生んだ日に何を見て何を感じて、お医者さんや旦那さん、ご家族とどんなことをしゃべったか、思いつく限り話してもらって、それをICレコーダーで採集して回ったんです。それを元にして、いろんな意見や感想を聞きつつ、自分の中で一回咀嚼をして、時間軸に並べ直して、産気づいてそろそろ生まれるかなというところから生まれるまでの十数時間をお母さんのモノローグの普遍的な出産ストーリーを作りました。さらにそれをちょっと味付けして、絵本の体裁にしてみたんです。

──ほー。

サトシン そうしてできたものをお会いするお母さんたちに「こういうの作ってみたんですけどどうですか」って読んでもらうと、しばらくして「もう涙でここから先読めない、あんた読んで」、みたいな反応で、確かに響いてると思いました。

──おー

8.jpgサトシン ただね、お母さんたちに話を聞いていて感じたんだけど、皆さん、子供を生んだときの体験を喋っているうちに、徐々にみんないい顔になっていくんですよ。そういうことを考えると、家庭でひとりで読むパーソナルな絵本というだけじゃなくて、大勢のいろんな人たちに一緒に体験してもらう、そういう感動的な時間を共有できることが一番いいんじゃないかと思ったんですね。そうすると、お母さんたちから聞いて作ったお話をただ単純に絵本にするだけじゃなくて、お話を歌詞にして曲をつけて歌にしたら、時間と空間を大勢の人と共有できるんじゃないかと。歌になれば、歌詞とメロディの力でより心に響くのでは?という思いもあったし。

──なるほどー。それは確かにキますね。

サトシン でもね、ひとつ大きな問題があって。

──なんすか?

サトシン 出産のときの話って、お母さんたちにとっては大事なナイーブな問題なのに、作ってるおまえは男で旦那で、どういうこと?って思うじゃないですか。

──ああ、確かに。

サトシン
 僕は広告の世界が長かったので、そういうイメージ的な問題って大事だと思っていて。こういう歌を作ったとしても、さっき言ったみたいなツッコミがあり、それがマイナスになるということも十分考えられるなと。こんなことを考えると突破口がなかなか見つからず、どうしたもんかと思いつつ、ずっと企画を寝かせてたんです。

──なるほどー。で、それを起こすきっかけとなったのは?

サトシン 最初から話すと長くなるよ?

──この企画、趣味インタビューなので当然字数制限もないので、最初の最初から存分にお話しください。

(第10回につづく)
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●バックナンバー
第1回
第2回
第3回
第4回
第5回
第6回
第7回
第8回
[番外編]
緊急うんこ!インタビュー [前編]
緊急うんこ!インタビュー [後編]
「ソング絵本」に関する緊急インタビュー

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 ●サトシンさんプロフィール
サトシン(本名:佐藤伸)1962年新潟県出身。三児の父親。元コピーライター。
広告としての受賞歴:「日本新聞協会 新聞社企画部門 新聞広告賞(新潟日報社)」「新潟広告賞グランプリ(第四銀行)」「新潟広告賞大賞(北陸国道協議会)」ほか。
2006年12月、すずき出版より「おったまげたと ごさくどん」(サトシン/作 たごもりのりこ/絵)を出版し、以降、本格的に作家活動に突入。
2007年4月、「おてて絵本普及協会」設立。新しい親子遊び「おてて絵本」の普及とこどもたちの「おてて絵本」ストーリーの採取・紹介に力を入れている。
2009年12月に出版した「うんこ!」がただいま絶好調増刷中。


●公式サイト→絵本作家サトシンのHP
●サトシンさんが立ち上げたおてて絵本普及協会



●絶賛増刷中の








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