一筆入魂

フリーライター/編集者 山下久猛のブログ

2016
05/14
日記

みなさまのおかげでフリー10周年を迎えることができました

このGWで、フリーランスになって10年が経った。
率直な感想はよく10年ももったなということだ。
これまで生き延びてこられたのはひとえに仕事をくれたり紹介してくれたりした皆様のおかげである。
改めて伏して御礼申し上げまする。

そもそも超不安定だし実力がなければ、いや、あっても生き残っていくのが超絶難しいフリーになる気なんてさらさらなかった。
やっぱりなんだかんだ言っても強者は圧倒的に発注側だ。
フリーランスという働き方はもっとも自分に合っていないと思っていた。
その理由は、
・ウデに自信があるわけではない→ライバルひしめく業界の中で、自分を買ってもらえるような高いレベルの仕事はできない→食っていけない
・営業が苦手→仕事が増えず、すぐに生活に行き詰るだろう
・怠け者である→自分を律するのが自分しかいないため、仕事の質も落ちるだろう。
・案外寂しがり屋である→毎日ずーっとひとりぼっちで仕事なんてできるわけがない。どこにも所属していない孤独感に耐えられるわけがない。
・自分に甘い&いい加減な性格→寝たいときに寝、起きたいときに起き、食いたいときに食い、呑みたいときに呑むような生活になると生活が乱れまくり、廃人になるのは時間の問題である。
などなど。

主に以上のような理由により、この、富を奪い合うために見知らぬ者同士が血で血を洗う高度資本主義経済社会で、会社に頼らず、しかも現代斜陽産業の代表のような出版業界でひとりでサバイブしていくことなんてこの俺にできるわけがないと思っていた。だからフリーランスのライターや編集者や経営者には尊敬の念を抱いていた。彼らのようにはとても生きられないと思っていた。

にもかかわらずフリーになったのは完全に流れだ。
10年前、私は人材紹介会社のポータルサイトを運営する会社に契約社員の編集職として働いていた。ポータルサイト上に立ち上げた転職系のWebマガジンの編集ディレクションが主な業務だった。

その会社の社長に勤務1年が過ぎた時に「社則で契約社員は2年が限度だから、社員になるか契約のままもう1年やって会社辞めるかどっちかだ」と告げられた。
しかし、社員になると
・年収ダウン
・朝9時出勤(契約は10時)
・朝礼参加強制
・社内会議及び研修に強制参加
ということだったので、即契約→翌年退職を選択。

そしてさらに1年が経った時、社長から、フリーになっても業務委託としてこれまでやってた仕事をやってくれと言われた。
もちろんその申し出を断ることはできた。いつ切られるかわからないフリーランスという不安定な立場より、どこかの会社の社員として働いて、毎月安定した給料をもらう方が格段に安心できる。

そろそろ転職活動をしようと思っていたところだったが、この仕事があれば当分は食っていけるし、この仕事そのものは好きだったので、フリーランスになった。

それから気づけば10年である。

積極的にフリーになったわけではないが、いざなってみたら私の性格にぴったりマッチした。望んでいたのはこういう働き方だったのだと心底思った。
確かに経済的な不安定さや将来の不安などは常にある。しかしそれを上回るメリットがあった。満員電車に乗らなくていいとかアホな上役の理不尽な命令に従わなくていいとかいろいろあるが、最大の利点は何をするにも自分でスケジュールを決められるということだった。この、自分の人生を自分でコントロールしている感は不安感を上回る大きな魅力だった。
それは今でも変わっていない。

あっという間の10年だったが、振り返ればいろいろなことがあった。

最大の危機はフリーになって3年が経った頃、業務委託で受けていた前職の仕事がなくなった。これで年収が半分になった。
このときはマジでヤバイと思った。ただ、前年から過去に働いていた会社からまとまった仕事がもらえたのでなんとかなった。
当時はかなり凹んでいたようで、mixi日記でこんな悲壮感にあふれたことを書いている。
「特に遠い将来のことを考えたら夜もおちおち眠れなくなる。百歩譲って今はいいとしても、40代後半、50、60歳になったときの自分がまるで見えてこない。そのとき果たして俺はどんな仕事をしてどんな暮らしをしているだろうか。
ボロアパートで家族と一緒に暮らせていればまだいい。公園や駅でダンボールの家に住んでいる可能性だって大いにある。いや、冗談抜きで」
40代後半の今でもなんとか食えてるぞ39歳の俺!
残念ながら家族はもててないけどな!

しかし50、60歳になったときの自分がまるで見えてこないのは今も同じである。

あと2010年のギャラ取りっぱぐれ事件も忘れられない。
被害額は数十万円。悪質な計画倒産によるものだった。
フリーライターの友人からそういう話を聞いていたのでついに俺にも来たかという感じだったが、やっぱりかなり大きなショックを受けた。
数十万とはいえ、零細フリーランスにはかなり痛い。そして何よりムダになった時間と労力が...。
ほんとエルツーの都築良明とS●Cの●垣だけは許せねえ。
ほんとあの時のSI●の上●との会話を思い出すだけで腸が煮えくり返る。現場のやつらはいいやつばっかだったが上が最低最悪だった。


まあこんな感じでなんだかんだで今までヤバイと思うことが何度かあったが、そのたびに新しい仕事がやってきなんとかなってきた。

本当にこれまで運と縁だけで生き延びてきた気がする。
れもすべて周りの人たちのおかげだ。

これまで友人知人のフリーライターや飲み友達から仕事を回してもらったり、出版社の編集者や企業の広報を紹介してもらったりしたおかげでなんとか命をつないできた。
まさに人の縁で生かされてきた。
感謝の言葉しかない。

年収的には相変わらずの低空飛行だが、1人で生活していく分には問題ないし、今後も死ぬまで独りであることは確実なので問題ない......とは思えない。
ほんとに50代、60代の自分の姿が想像できない。

でも、「1つの扉が閉まると100の扉が開く」
以前インタビューさせていただいた伝説のキャリアカウンセラーでありキャリア教育の権威である小島貴子さんのこの言葉を信じて前に進むしかない。

「斃れるときは前のめり」

そう、いずれにしても死ぬまで前に進み続けるしかないのなら明るく進む方がいいじゃないか!(と自分に言い聞かせる)

私の周りには自営業20年選手、30年選手もゴロゴロいるので、10年程度ではまだまだ若輩者だけど、彼らの後を追ってとにかく精進を怠らず、仕事をくださった人のため、そして読者のため、全力を尽くす所存であります。

そして、限界までこの道で生きていきたいと思っているのであります。

今後ともご指導・ご鞭撻のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。




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