一筆入魂

フリーライター/編集者 山下久猛のブログ

2010
11/20
日記

「作家・福井晴敏、ガンダムを語る―KSD(慶應義塾推理小説同好会)講演会in三田祭」に行ってきた

昨日焼肉食ったりなんやかんやしてて都合2〜3時間くらいしかまともに寝られていなかったのだが、朝いちから慶應義塾推理小説同好会主催の「作家・福井晴敏、ガンダムを語る―KSD講演会in三田祭」に行ってきた。

福井晴敏といえば、いわずと知れた「ガンダムUC」の原作者。
富野由悠季御大の正当な後継者(と個人的に勝手に思っている)なので、ファースト世代としては行かないわけにはいかないのである。

※福井さんのオフィシャルサイトはこちら

結論から言うと、江戸川乱歩賞受賞秘話とか∀ガンダム小説秘話とか作家としてのターニングポイントの話とか最近の風潮に対するdisりとか、テレビやラジオでは流せない濃く興味深い話ばっかりとてもおもしろかった。参加してよかった。

福井さんの話の中でいくつかビビッときた点があったが、特に映画や小説の「おかゆ化」が問題という点に激しく同意。

要約すると、作り手がとにかく幼児でもわかるようなわかりやすい作品、安易に感動できる薄っぺらい作品、そんな毒にも薬にもならない作品をつくり続けた結果、作品を咀嚼する力、わからないものでも理解しようとする「背伸びする力」をもたない若者を大量に産み出してしまったということだが、まさにそのとおりだと思った。

俺が「ルーキーズ」とか「ワンピース」とか余命ものとかケータイ小説とかに全く惹かれないのはそういうことなのだろう。底の浅い、毒にも薬にもならない作品に興味はない。

もちろん中学生、百歩譲って高校生くらいまでならそれでもいいが、そんなものばっかり読んだり観たりしてると、自分の理解を超える作品を認めることができなくなるし、自分の頭で考えることもできなくなる。

とにかくわかりやすさ至上で、わかりにくいものは受け入れられない時代。

そしてそれは自分達の世代の作り手のせいでもあると福井氏は言っていた。

ガンダムUCはわかりやすさや安易な感動に走らない、骨太な物語である。

つまり、ガンダムUCには福井さんの罪滅ぼし的な意味も込められているんだと思った。どおりで読み応え、観応えのある作品に仕上がっているわけである。


しかし、学祭イベントそのものの感想としては最悪。
講演ではなく、主催である慶應義塾推理小説同好会の学生と福井さんの対談形式だったのだが、まず対談相手というか質問者(主催者の学生)の礼儀が全くなってない...というか常識がなさすぎる。

通常であれば対談に入る前に、簡単な挨拶、イベントに関する簡単な趣旨説明、福井さんの紹介などがあってしかるべきなのだが、司会者はそれらを全く省いていきなり福井さんに質問を始めた。

これにはさすがに観客はもちろんのこと福井さんも面食らい、おいおい、ちょっと待てという感じで、自ら自己紹介と挨拶を始め、主催者にも自己紹介を促した。ゲストに仕切らせてどうするw

これは学生だからしょうがないという問題ではないと思う。
中学生なら許されるかもしれないが、大学生、しかも天下の慶應義塾大学である。
正直、レベルの低下に唖然とした。

内容も惨憺たるもの。

講演ではなく、対談方式でやりますという事前説明で嫌な予感がしたが、司会者(質問者)の対応が最悪。福井さんの話を途中でさえぎりまくり、余計なまとめや返しを入れすぎ。しかもあまり的を射ていないコメント。

福井さんもしゃべりづらそうに見えた。

福井さんはしゃべりも上手なのだから、余計な茶々を入れずに、福井さんオンリーの講演にするか、もしくはもっと上手な対談相手もゲストとして呼ぶべきだった。

主催者のサイトには
「ハードかつエンターテイメント性に溢れた作風から人気を集め、メディアミックス作品も多く手掛ける現在話題沸騰中の作家・福井晴敏がその創作の姿勢を語る。彼にとってのガンダムとは何か、そしてガンダムUC執筆への想いは。三田祭講演会で全てが明らかになる! 」
と書かれていたが、ちっとも明らかにならなかった。

ツイッターで質問を募集していたので、最後に質疑応答の時間を設けると思ったのだが、それもなし。
時間配分を考えず、終始ダラダラグダグダの1時間半。

せっかくいい企画を立てて、福井さんも応じてくれたのに、ほんともったいない。
学祭だから、参加費無料だから、というのを言い訳にしてはいけない。
やるからにはちゃんとやろうよ。
じゃないと自分達のサークルの評価を下げてしまう。

今回で得た(かどうか当事者はわからんが)教訓を今後に生かしてほしいなあと思いつつ、ガンダムUCエピソード2の5回目をこれから観るのである。


「過ちを気に病むことはない。ただ認めて次の糧にすればいい。 それが大人の特権だ!」

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