一筆入魂

フリーライター/編集者 山下久猛のブログ

2009
07/08
日記

最後の魂、そして次なるステージへ

先日、最後の「魂の仕事人」がリリースされた。

2005年7月の連載開始から丸4年。
インタビューに応じてくださった方、全40人。
のべ回数172回。

4年前に取材させてもらった第1回の薮本雅子さんから、最終回の須藤シンジさんまで
取材させてもらったときの事をはっきりと思い出すことができる。

どの方も多忙なのにわざわざ時間を取って、
長時間のインタビューに熱く、真摯に応じてくださった。
人として尊敬できるすばらしい人ばかりだった。
心の底から感謝してもしきれないほどだ。

つらいこと、苦しいこと含め、
好きで好きでたまらなかった仕事。
これができたからこの世界に入ってよかったと思える仕事。

そんな仕事に一生のうちに一回でもめぐり合えたことをうれしく思う。
有り難いとも思う。

さらに昨年、書籍という形で世の中に出すことができた。
それこそとても有り難いことだ。


しかし、やはり、もう2度と、
取材対象者を吟味したり、
その人をもっと知るために講演会とかに行ったり、
取材企画書を送って取材を懇願したり、
OK取れて喜んだり、
断られて凹んだり、
カメラマンを手配したり、
取材対象者に関するインタビュー記事とか著作とかを探して読んだり、
その人の年表を作ったり、
取材に2時間も3時間も、
人によっては4時間も5時間もかけたり、
複数回、足を運んだり、
終わった後は「今日もいい話が聞けた!!」と
コーフンしながら昼間からカメラマンと祝杯を挙げたり、
帰宅後はヒーヒー言いながら長時間の録音音声データを文字に起こしたり、
あーでもないこーでもないと頭抱えながら構成考えたり、
うーうー唸りながら読みやすい文章に書き直したり、
何度も推敲したり、校正したり、タイトルを考えたり
形が整ったら取材対象者に送ったり、
時には怒られたりけなされたりたま?にほめられたり、
取材対象者からの赤字を反映させたり、
大量の写真の中からいい写真を選んだり、
選ぶときもうれしい場面では笑顔を、
苦しい、悲しい、つらい思い出を語ってるところにはシリアスな表情を
右向き、左向き、クローズアップ、引き、イメージカットなどを考慮しつつ配置したり
デザイナーに入稿したり、
デザイナーがデザインを組むともっかい校正したり
取材対象者にもっかいチェックしてもらって最終的に入稿したり・・・...
なーんてことができなくなってしまうんだなあと思うとさびしい。


何より、読者からの感想に喜んだり、熱くなったり、凹んだり、
励まされたりなんてこともできなくなる。
それが一番さびしい。


しかし永遠に続くものなんてない。
むしろここまで長く続けられたことを僥倖だと思おう。


そして最後の連載がリリースされた翌週に40歳になった。
孔子の言うところの不惑の歳。

40になる歳のはじめにメインの仕事を失い、
40になるタイミングでライフワークの連載終了。

この偶然も何か意味があるように思えてならない。

もうそろそろ次のステージへ行けということなのだろうか。

生まれ変われということなのだろうか。

何かを捨てるということは、何かを得るということでもあるし。


なんてことを思っていたらほんとに新しい仕事の話が来た。

これまでやったことのない、でもやりたいと思っていた仕事。

私は運命とか占いとかオカルトとかスピリチュアルとかは全く信じない人間だが、ほんとにそういう人生の大きな「流れ」みたいなものはあるような気がしてきた。


いずれにせよ、ほんとに仕事が決まったら全力を尽くそう。
私にできることはそれしかないのだから。

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