ガンダム40周年ということで、何やらNHKが仕掛けようとしているようです。
https://www.nhk.or.jp/anime/gundam/
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リアルな人物描写と世界観で「日本のアニメを変えた」と言われる「機動戦士ガンダム」。1979年のファーストシリーズ以降、今も新シリーズが作り続けられ、「ロボットアニメの金字塔」とも言われる人気作品です。最初の放送から40年目を迎えた今年、BSプレミアムでは、映像56作品、登場キャラクター2000人以上、モビルスーツなどメカ900以上、アニメソング200曲以上を網羅したデータベースを構築。視聴者のみなさんにそれぞれのカテゴリーのお気に入りを選んでいただく、史上初の「全ガンダム大投票」を今日からスタートさせます!結果は5月の大型連休に"生放送"で発表!お楽しみに!
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はあ...こないだ30周年だと思っていたんですが、もう40周年ですか......時の経つのは本当に......ということで、「ガンダム」とのファーストコンタクトの思い出をここにも記します。(初出:2010.8.6 お台場ガンダムを肉眼で確認した後で)
私がアニメ『機動戦士ガンダム』と出会ったのは小学4年生の頃。
もうかれこれ30年前になるが、そのときの衝撃は今でもはっきりと覚えている。
当時、他の男の子たちと同じく、ロボット系SFアニメが大好きだった。
マジンガーZ、ゲッターロボ、グレンダイザー、勇者ライディーン、鋼鉄ジーグ、コンバトラーV、そして宇宙戦艦ヤマト。
これらのアニメのストーリー構造の基本は、世界征服をたくらむ悪の組織を命をかけて戦う正義の味方がやっつけるという、勧善懲悪スタイル。
それはそれでおもしろく、毎回テレビにかじりついて夢中で見ていた。水戸黄門に代表されるように、日本人はそもそも勧善懲悪モノが好きなのだろう。
しかし30年前のある日、ふとつけたテレビにガンダムが流れ始めると、これまでの、ロボットアニメとはこういうものだ、という固定観念は根底から破壊された。
それはまさしく衝撃だった。
まずはオープニングで度肝を抜かれた。
「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって、既に半世紀が過ぎていた。
地球の周りの巨大な人工都市は人類の第二の故郷となり、人々はそこで子を産み、育て、そして死んでいった。
宇宙世紀0079、地球から最も遠い宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。
この一ヶ月あまりの戦いで、ジオン公国と連邦軍は総人口の半分を死に至らしめた。
人々はみずからの行為に恐怖した」
これまで聞いたこのないクールなナレーション。
スペースコロニーが地球に落下する衝撃的な映像。
これは本当に子供向けのアニメなのか。
これまでのロボットアニメとは根本的に違う......。
子供心にはっきりとそう思った。
その予感は的中した。
まず主人公がこれまでのアニメでは考えられないほど弱かった。
従来のアニメでは、どんな凶悪で凶暴な敵にもひるまない、戦うことに疑問を感じない、常に勇気凛々、闘争心にあふれたいわゆるマッチョでイケメンな男子が主人公だった。
しかしアムロは常に弱腰だし、何かにつけてぐじぐじと悩むし、煮え切らないし、戦うことに対する恐怖を隠そうともしないし、皮肉屋だし、幼馴染の挑発にも「死にたくないからやっているだけさ」とか言うし、上司に殴られたら「父さんにもぶたれたことないのに!」とか言うし、おまけにテンパーだった。
これまでの定型とはまるで真逆なキャラクター。
だからこそリアルだった。
本当の戦争になったら、自分だってこうなるかもしれない......。
子供に「ロボットに乗って戦うこと」のリアルを感じさせるという「暴挙」に出たのはガンダムが初めてだった。それは同時に「快挙」でもあったと思う。
登場人物たちがしゃべるセリフも新鮮かつ衝撃的だった。
「認めたくないものだな、自分自身の、若さ故の過ちというものを」
「それでも男ですか! 軟弱もの!!」
「見せてもらおうか、連邦軍のモビルスーツの性能とやらを」
「MSの性能の違いが戦力の決定的差ではないということを教えてやる!」
「ええい!連邦軍のMSは化け物か!!」
「寒い時代だと思わんか?」
「相手がザクなら人間じゃないんだ!」
「坊やだからさ...」
「足なんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」
「悲しいけど、これ、戦争なのよね」
などなど、名セリフは枚挙に暇がないが、30年経ってもセリフを読むだけでそのシーンがありありと脳裏によみがえり、一般の日常会話でも普通に引用されているというのもガンダムならではだろう。
そのほか、ロボットではなく「モビルスーツ(MS)」と呼んだり、敵のMSやキャラの方がかっこよかったりと、度肝を抜かれたことは数限りなくあるが、私がもっとも衝撃を受けたのはストーリー設定、世界観だった。
地球からスペースコロニーに移った民たちが、地球に対して独立のための戦争を挑む。
これって1775年から1783年に実際に起こったアメリカ独立戦争じゃん。
ジオン=アメリカ、地球連邦政府=イギリスじゃん。
子供向けのアニメで史実を元にしたような設定、世界観、ストーリー展開って、これまでになかった。
そう思ったら俄然のめり込んだ。
実家は貧乏で、ビデオデッキというものがなかったので、
ラジカセをテレビの前に置いて毎回音声だけを録音して繰り返し聞いた。
録音時には、親や兄弟に、頼むから放映中は絶対に物音を立てないでくれと頼んでいたが、
たまに母親の「今日のご飯はカレーよ?」とかいう声が入ると絶望的な気分になった。
そんな従来の子供向けロボットアニメの価値観をことごとく壊してくれた画期的かつ衝撃的なアニメだっただけに、さぞかし同級生も感動してハマっているだろうと思い、放映日の翌日、ガンダムの話をしたくてわくわくしながら登校したが、期待は見事に裏切られた。
俺「おい、昨日、ガンダム観たか? すげえアニメが始まったのう」
友「へ? ああ、あの変なアニメか。俺にはようわからんかった」
同級生のリアクションは絶望的なまでに薄かった。
中には、「花の子ルンルン」の方が百倍おもしろいと言い放つヤツまでいた。
10歳のガキにはまだ早かったか......。
私はそう思った。
ちなみに級友たちは映画が公開される頃にやっと追いついてくれた。しかし私はつまんなかった。なぜなら、映画はテレビの総集編で、すでにテレビで全部見ていたからだ。チッ、映画といってもテレビの焼き直しかよと思いながらぼんやりとスクリーンを眺めていた。あまりにも退屈だったので、一緒に観に行った友達にこの先の展開を教えようとしたら、頼むから黙っててくれと目を剥いて怒られた。私はその頃から嫌なやつだった。
私を絶望せしめたのは級友だけではなかった。
大人ならわかってくれるだろうと思い、担任の女教師に、ガンダムというすごいアニメが始まったがよ?、みたいな話をしたら、その女教師はこう言った。
「どっちがええもんで、どっちが悪もんなん?」」
私はその場にがっくりと跪いた。
(ちなみに「ええもん」とは正義のヒーロー側。マジンガーZでいえば兜甲児たち、「悪もん」とはその逆。マジンガーZでいえば阿修羅男爵とかの敵側である。)
いい大人なんだからいい加減、勧善懲悪の呪縛を打ち破れよと思ったが、言わなかった。こいつには言うだけムダだと思ったからだ。
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あれから30年。
子供心に大きな衝撃を受けた作品だっただけに、等身大のガンダムを観たとき、魂が震えた。
あのガンダムが、今、目の前に立っている。
しかも、アニメのガンダムよか、1億倍、かっけー!!!!
(実は、アニメで見てた頃はそんなにガンダムは好きじゃなかった。
ガンプラも初めて買ったのはシャアザクだったりする。
ここはできるデザイナーとできる職人のすごさだろう)
夢だったものが現実の物体として目の前に出現している。
これを感動といわずして何というのか。
日本のロボットアニメの歴史を変えたガンダム。
日本のロボットアニメの歴史はガンダム以前と以降に分けられると言っても過言ではあるまい。
そして30年の長きにわたって、世代を超えて愛されて続けている作品はほかにない。
そのガンダム1/1像は、間違いなく日本人の夢と希望と英知の結晶なのである。
興福寺の阿修羅像、薬師寺の日光・月光菩薩像に勝るとも劣らない、文化財なのである。
ユネスコ世界遺産センターに登録を申請すべきだと真剣に思っている。
このプロジェクトを発案、実行してくれたすべての人に心の底から感謝する。
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その時撮った一番お気に入りの写真がこちらになります。
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