毎年、お盆が来れば思い出す。
今から約20年前に起こったあの悲しい出来事を──。
通称御茶ノ水ラグビー専門学校2年生だった21歳の俺は、夏休みを利用してバイクで帰省する計画を立てた。
帰省先は四国の愛媛。バイクは当時バイト先のピザーラの先輩から10万で売ってもらったNS400R。「バリバリ伝説」でグンが乗っていたあのホンダが誇る2ストロークビッグの名機である。カラーリングは言うまでもなくロスマンズカラーだ。
これがホンダが世界に誇る名機、2ストローク3気筒マシンのNS400だ!
計画していたルートは、東名→名神→山陽→瀬戸大橋→四国という至極オーソドックスなもの。初の長距離ツーリングなので、バイクショップでプラグの交換、タイヤ交換など万全を期して臨んだ。
荷物をタンデムシートにくくりつけ、なるべく渋滞を避けようと午前2時に当時住んでいた横浜のアパートを出発。横浜町田インターから東名に乗り、一路西へ。お盆の帰省ラッシュ真っ只中だったからところどころ渋滞ができてはいたが、バイクだから関係ナッシング。すり抜けで順調に進む。
静岡県に入る頃には高速はガラガラで1●●km/hくらいで巡航できていた。
このままでは予想以上に早く着けるかもと思いながら走っていたところ、ちょっと気になる現象が。時々バックミラーに明るい光がチラチラと映るのだ。
最初は車のバックミラーだろうと思っていたのだが、一向にそれらしき車は来ない。ちょっち疑問に思いつつもたまたま高速道路の両側に立っているライトか何かが映ったのだろうと気にとめなかった。眠かったし。
しかしこのときちゃんと確認しなかったのが、後に大惨事を招くこととなる。
もう少しで富士川インターの手前というところで、一台のバイク(今でも覚えているが黒のYAMAHA RSR250)が俺の横に並んだ。なんだ、ランデブーでもしたいのかとふと横を見ると、必死に指で後ろを指している。
ん? 後ろに何かいるのかと思って振り返ると...
俺のバイクが火を噴いていた。
今から約20年前に起こったあの悲しい出来事を──。
通称御茶ノ水ラグビー専門学校2年生だった21歳の俺は、夏休みを利用してバイクで帰省する計画を立てた。
帰省先は四国の愛媛。バイクは当時バイト先のピザーラの先輩から10万で売ってもらったNS400R。「バリバリ伝説」でグンが乗っていたあのホンダが誇る2ストロークビッグの名機である。カラーリングは言うまでもなくロスマンズカラーだ。
これがホンダが世界に誇る名機、2ストローク3気筒マシンのNS400だ!
計画していたルートは、東名→名神→山陽→瀬戸大橋→四国という至極オーソドックスなもの。初の長距離ツーリングなので、バイクショップでプラグの交換、タイヤ交換など万全を期して臨んだ。
荷物をタンデムシートにくくりつけ、なるべく渋滞を避けようと午前2時に当時住んでいた横浜のアパートを出発。横浜町田インターから東名に乗り、一路西へ。お盆の帰省ラッシュ真っ只中だったからところどころ渋滞ができてはいたが、バイクだから関係ナッシング。すり抜けで順調に進む。
静岡県に入る頃には高速はガラガラで1●●km/hくらいで巡航できていた。
このままでは予想以上に早く着けるかもと思いながら走っていたところ、ちょっと気になる現象が。時々バックミラーに明るい光がチラチラと映るのだ。
最初は車のバックミラーだろうと思っていたのだが、一向にそれらしき車は来ない。ちょっち疑問に思いつつもたまたま高速道路の両側に立っているライトか何かが映ったのだろうと気にとめなかった。眠かったし。
しかしこのときちゃんと確認しなかったのが、後に大惨事を招くこととなる。
もう少しで富士川インターの手前というところで、一台のバイク(今でも覚えているが黒のYAMAHA RSR250)が俺の横に並んだ。なんだ、ランデブーでもしたいのかとふと横を見ると、必死に指で後ろを指している。
ん? 後ろに何かいるのかと思って振り返ると...
俺のバイクが火を噴いていた。
慌ててアクセルを戻すと、背中がぶわっと熱くなった。
これがほんとのバックドラフト(←違う)
スピードを落とすことによって、チャンバーから噴き出していた炎が俺の方に覆いかぶさってきたらしい。
こりゃリアルカチカチ山やなとなぜか冷静に思った。
隣のライダーはものすごい形相で路肩の方を指差している。早く路肩に止めろということだろう。
言われなくても止めるわいと思いつつさらに減速。さらに高熱を背中と首に感じながら我が愛機を路肩に止めた。
急いで後ろに回るとタンデムシートに積んだボストンバックが燃えていた。あの中には当時家庭教師をしてた女子高生のお母さんにいただいたベネトンのポロシャツとか入ってたのに...と思いつつ、急いでバッグを引き剥がした。
NS400というバイクは2ストローク3気筒で、ひとつのチャンバーが右上方(タンデムシートのすぐそば)についている。だから、当初はこのチャンバーの熱でバッグが燃えたのかと思っていた。だから燃えているバックさえ引き剥がせば、大丈夫だと思っていた。
しかし、それは甘かった。
バッグを引き剥がし、火を消しても、バイク後方から上がる炎は消えなかった。
よく見ると、炎はチャンバーから噴き出ていた。
ジェットエンジンかっ! というツッコミなどできるはずもなく、俺は深夜の東名高速富士川インターの手前付近で呆然と立ち尽くししかなかった。
(長くなったので中編に続く)
スピードを落とすことによって、チャンバーから噴き出していた炎が俺の方に覆いかぶさってきたらしい。
こりゃリアルカチカチ山やなとなぜか冷静に思った。
隣のライダーはものすごい形相で路肩の方を指差している。早く路肩に止めろということだろう。
言われなくても止めるわいと思いつつさらに減速。さらに高熱を背中と首に感じながら我が愛機を路肩に止めた。
急いで後ろに回るとタンデムシートに積んだボストンバックが燃えていた。あの中には当時家庭教師をしてた女子高生のお母さんにいただいたベネトンのポロシャツとか入ってたのに...と思いつつ、急いでバッグを引き剥がした。
NS400というバイクは2ストローク3気筒で、ひとつのチャンバーが右上方(タンデムシートのすぐそば)についている。だから、当初はこのチャンバーの熱でバッグが燃えたのかと思っていた。だから燃えているバックさえ引き剥がせば、大丈夫だと思っていた。
しかし、それは甘かった。
バッグを引き剥がし、火を消しても、バイク後方から上がる炎は消えなかった。
よく見ると、炎はチャンバーから噴き出ていた。
ジェットエンジンかっ! というツッコミなどできるはずもなく、俺は深夜の東名高速富士川インターの手前付近で呆然と立ち尽くししかなかった。
(長くなったので中編に続く)
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