新型コロナウイルス(以下、新コロ)の影響で仕事や私生活がどう変わったか、今どんなことを考えているか、個人的対策、そして今後のプランなどについてオンラインで身近な友人知人にインタビューする「最近、どうよ?」。第4回は、敬愛する写真家の西澤丞さんにご登場いただきます。
西澤さんは「写真を通じて日本の現場を応援する」というコンセプトのもと、主に、ものづくりやインフラ工事の現場、科学研究施設など、立ち入り禁止の現場に入って撮影している、日本における工業写真の第一人者。作品がアメリカの国民的雑誌『TIME』に掲載されたり、海外の美術館で展示されたりという、ものすごい実績を有している国際的写真家であります。
現場に行かないと仕事にならない写真家も新コロの影響直撃の職種のはずですが、西澤さんは今めちゃくちゃ忙しいと言います。現在の状況や取り組んでいることなどを詳しく語っていただきました。
(取材日:5月1日)
【プロフィール】西澤丞(にしざわ・じょう)1967年愛知県生まれ。愛知教育大学美術科卒業後、自動車メーカーのデザイン室、撮影プロダクション勤務を経て2000年、フリーの写真家として独立。2018年3月、福島原発を撮影した写真集『福島第一 廃炉の記録』(みすず書房)を出版。以降も福島第一原発に通い、撮影を続けている。
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新型コロナの波が直撃、仕事は激減
──最近、仕事の状況はどうですか?
写真家は現場に行って写真を撮るのが仕事だから、やっぱり仕事は減ってますよ。
今(5月1日現在)動いている仕事は2つ。1つは去年のうちに受注していた仕事で、『ナショナルジオグラフィック日本版』の中のキヤノンさんが持ってる連載ページで撮り下ろしの写真と文章を掲載するってやつ。撮影は新型コロナウイルス(以下、新コロ)の感染拡大がこんなにひどくなる前、1月中に終わってるんですよ。だから後はそれに文章を加えるだけ。この連載はあと2、3回ある。だから僕に影響が出てくるのは来月、再来月からじゃないかな。その頃にはやる仕事がなくなっちゃう。
撮影仕事に関しては、定期的に撮りにいく仕事もすべて延期だし、新規はもちろん全然なし。イベントとかも当然ないしね。
あともう1つは、企業や出版社に写真を貸し出す仕事。
──西澤さんのような写真家はそれがあるからいいですよね。
そうですね。僕の場合は撮るだけが仕事じゃないので、まだましだけど、そうじゃないカメラマンは新コロの波が直撃で、深刻だと思います。
今はとりあえず、ありものでやれることをやってるんだけど、ただ、それも今後クライアントの業績次第でどうなるかわからないですよ。
CP+の中止で危機感
──中国武漢で最初の発生が確認されたのは去年(2019年)11月で、同年12月31日に最初に世界保健機関 (WHO) に報告されました。日本でも12月末から1月にかけて報道され始めたと思うんですが、新コロが流行りだしてこれまでの仕事の影響の変化について教えてください。
1?2月はまだ普通に外に出て撮影してたし、全然影響なかったよ。2月の終わりくらいからかな。僕も出演することになってたからよく覚えてるんだけど、「CP+」っていうカメラ機材の大規模な展示会が毎年2月末か3月頭に横浜で開催されてるんですよ。でも今年は開催日の2週間前に中止が決定したんだよね。
──それ僕も行こうと思ってたから覚えてます。
その頃からヤバいかもという感覚になったかな。もちろん当時はここまでひどくなるとは思ってなかったけどね。
検討中、進行中の仕事もストップ
その頃から確定していて進行中だった仕事や未確定で検討中だった案件も、現地で撮影する仕事はどんどんキャンセルになりました。例えば新コロが流行る前に、出版社に打診して前向きに検討してもらっていた新しい写真集の企画もポシャりました。うちの経営資源は確実なところに集中させたいって。雑誌の方に力を入れないといけないから写真集みたいなものは後回しっていう話じゃないかな。
──悲しいですね。
不要不急な写真集なんてそんなもんですよ。これからはエロ、食、実用などの売れ筋のテーマの本は残ると思うけど、僕が撮ってるようなインフラ系の写真集って、出版社が経営的な判断としては手を出しにくい状況になっちゃうと思うんだよね。出版社もより利益優先になるからさ。
──そもそも出版業界自体ずっと厳しいですからね。
そうそう。こないだカメラ雑誌『月刊カメラマン』(モーターマガジン社が発行する、創刊42年の歴史を誇るカメラ雑誌の老舗)も休刊になっちゃったしね。そういうのはすでに波が来てるから。
──僕も進行中の仕事がいくつもポシャったり新規の仕事の依頼は3月から全く来ないので状況は同じなのですが、中にはオンラインで取材して書いてるライターもいるんですよ。でも写真家は現場に行かないと仕事にならないから大変ですよね。
そうなんだよね。僕の知り合いの写真家も、誰もいないところに行って撮る風景写真なら何も問題ないわけじゃん。でも今は世間的に許されないもんね。ステイホームだから。
──自粛警察もうるさいですしね。
だからみんな家の中でじっとしてる。大変だと思いますよ。
でも確かに文章書く人はいいですよね。自宅でずっと仕事できるから生活はあんまり変わらないでしょう?
──でも僕は取材ライターですからね。作家やコラムニストはほとんど影響ないと思いますよ。むしろ増えてるんじゃないですかね。うらやましい限りですよ。
山下さん、そっちもやれば? チャンスじゃん。
──いやーそっちは得意じゃないというかできないんですよね。小説や評論とかはそもそも能力的に無理なんですが、コラムとかエッセイも、その人自身が一般人とは違うセンスや視点、経験をもってないと売り物になるおもしろい原稿って書けないじゃないですか。あと社会に対して訴えたいことも特にないので。
なるほどね。でもいい機会だから暇ならやってみればいいのに。
活動の軸足を変えなきゃいけない
──今、どんなことに取り組んでいるんですか?
まず今考えているのは、新コロが終息しても、世界は新コロ前と同じには戻らないじゃん? となると、今までと同じ考え方で活動しててもコロナ後を生き残れないと思ってるんだよね。
つまり、これまで僕は写真家としては、自分で写真集の企画を立てて出版社に売り込んで、撮りたいものを撮って発表するという作家活動の方に軸足を置いていたのね。だから出版社や企業から依頼されて撮るという仕事の方はそれほど積極的にやってこなかったんだよ。写真集を出すことが僕自身のPRにもなっていて、それがきっかけで自然と撮影や写真の貸し出し依頼が来るという流れになっていたから。
でもそもそも写真集の企画は出版不況が長く続いてきたから通りにくくて出しにくかったんだけど、コロナ後はさらに状況が悪化すると思うんだよね。写真集を出せなくなると作家としてのPRの機会がなくなっちゃうから、依頼仕事の方に軸足を置かなきゃいけないと思ってる。
依頼を増やすためには、今後の作品の発表の仕方を考えなきゃいけない。となるとネットしかない。だから今後はネットを使って自分自身でどんどん世の中に対してPRしていかなきゃいけないと思ってるんですよ。もちろんネットに変えたからってそんなにすぐにお金になるわけじゃないんだけど、活動の軸足を変えた時にどうやったらお金を稼げるかを考えることは重要だよね。
Webサイトのリニューアルと情報発信
──そのために今、具体的にはどういうことをしてるんですか?
自分のWebサイトを充実させること。だから先日、全面的にリニューアルして、積極的に情報を発信してるんだよね。
──確かに最近、長文の記事を立て続けにアップしてますよね。
今日も記事を書こうと思ってたところなんだけど、例えば、こないだ写真は検索には引っかからないという記事を書いたんだ(「写真家の認知度向上計画。ウェブサイトで検索上位を目指す」)。
いろいろ試行錯誤してみてわかったんだけど、撮った写真をWebサイトにただアップしても検索には引っかからないんだよね。だから今後はなるべく文章をアップしなきゃいけないと思って、写真の詳しい説明を書いたりして、いろんな方法で写真と文章を両方見てもらえるための試行錯誤をやってるところなんだよ。
さらに、調べたいことやものってキーワードで検索されるから、自分が発信したいことと、Webサイトの向こう側にいる人が検索してくれるだろうと予想されるキーワードをうまくマッチングさせようと思ってやってる。さっき調べたらいくつかの組み合わせではGoogleのトップに表示される記事もあったから、手応えも感じてる。まあこれからなんだけどね。
仕事がないからといってぼーっとしててもしょうがない
──いわゆるSEO対策ってやつですね。さすが西澤さん! 前向きにいろいろ頑張ってますね。
だってさ、仕事がないからといってぼーっとしててもしょうがないじゃん。コロナ後を生き延びるためにいろいろ考えてやってかないと。だから今自分のこの状況、条件でやれることで最適なことは何かと考えると、ネットをうまく利用すること。今の空いてる時間で時間のかかる文章を書いたり、Webサイトをリニューアルしたりしておいた方が先行投資という意味でも大事なんじゃないかなと思うわけですよ。
文章書くの嫌いじゃないし。昔は大嫌いだったんだけどね。人間、変わるもんだね(笑)。
──前にインタビューさせていただいた時も思ったんですが、すごく勉強熱心ですよね。
というか、こないだまでできなかったことができるようになるのって楽しいじゃん。
Webサイト作りもそうだよ。自分で作り直そうと思って久しぶりに調べてみたら全然仕組みが変わっててウギャーってなった。最初に作ったのって2006年くらいなんだよ。当時まだHTMLだったんだけど、しばらくしたらcssてのが出てきて、こないだ久々に調べたらレスポンシブってのになっててわかんねーみたいな(笑)。でもやりゃあできちゃうんだよ(笑)。新しいプログラミング言語が登場するたびに自分で一から勉強して作ってます。
毎日やること満載で忙しい
──仕事がなくても自分でやることを作ってやってるんですね。素晴らしい! 昨年インタビューさせていただいた時、外国人と話す機会が増えたから英会話を勉強しているとおっしゃっていましたが、まだ続けてますか?
もちろんやってます。引き続きNHKのラジオ英会話で(笑)。勉強を始める前はCNNを観てても呪文にしか聞こえなかったんだけど、最近、英語に聞こえるようになったの。まだ言ってることはわかんないんだけどね。
──じゃあ仕事がなくなって暇を持て余してるって感じではなさそうですね。
暇は全然ないね。毎日やること盛りだくさんで忙しいよ。
──素晴らしい! 僕なんかぼーっとしてるだけなので見習いたいです。
少しでもやれることやっといた方がいいよ。
──西澤さんの友人知人の写真家やカメラマンも、西澤さんと同じく前向きにやれること頑張ってるって感じなんですか?
そうですね。写真と文章で旅行記みたいなものをアップしている人もいるし、写真の整理している人もいるし、普段できないことやってるんじゃないですかね。
──西澤さんは写真の整理はやってないんですか?
僕は撮ったらすぐ整理しちゃうからその必要はないんだよ。写真の貸し出しの仕事をしてるから、撮り終わったら全部署名入りのサムネールを作るんですよ。その過程で全部整理しちゃうんで。
──ちなみに撮ったデータの保管ってどうしてるんですか? ものすごい量になりますよね。
と思うでしょう? 今ね、2009年くらいからデジカメになってるんだけど、2TBくらいしかない。取材先確認でNGって言われたものはRAWデータから全部完全に捨ててるから、1日400枚撮っても20枚くらいしか残らない。だから、外付けHD1台に全部入っちゃう。もちろん、バックアップとして、何台か使うけどね。
感染予防対策もバッチリ
──僕も3月いっぱいくらいまで普通に人に会って取材とか打ち合わせしてたんですが、マスクなしでけっこう近い距離でお互い喋ってたので、今思うと感染リスク高かったかなと思うんですよ。西澤さんみたいなタイプの写真家も結構至近距離で人と接する仕事じゃないですか。これまで新コロに感染する恐怖とか不安ってありました?
あんまりないね。最初から感染対策はきっちりやってるから。外に出るときは必ずマスクを着用するし、外から帰ってきたら毎回当然手は洗うし、顔も洗うし、メガネも洗う。それくらいやってるよ。やらずに後悔するの嫌だからさ。
──マスクは手に入ってます?
マスクは自家製。なんでみんなそんなに既製品にこだわるのかね? N95とか以外なら同じだよ。
支援をあてにするより、写真家としてやるべきことをやる
──政府や自治体の支援策に申し込んだりしてます?
まだ全然やってない。自分が給付を受けられるか調べてみないとわかんないから。
──政府の持続化給付金は申込みも簡単になってるみたいですよ。
そうなんだ。ただ、収入が減るのは間違いないんだけど、今の時期に去年に比べて収入が半減しているかというとわかんないんだよね。僕の場合は仕事をしてた時と入金される時ってかなりのズレがあるから。例えば撮影自体はだいぶ前に終わっててもその他の作業がまだ続いてて入金がかなり後になるから。だから去年の事情を考えると、減るのは夏くらいじゃないかと思う。そうなると対象になるのかなと。
──それすごくよくわかります。僕も全く同じで、原稿を納品してから実際に原稿料が入ってくるまでってかなりのタイムラグがありますからね。単行本の場合、半年から1年くらいになることもザラですから。というか、あまり政府や自治体の支援をあてにしてないんですか?
うん(笑)。だってどうなるかわかんないじゃん。二転三転してるからさ。
──融資も受けるつもりはないんですか?
全然ないね。だって融資って結局借金でしょ。山下さんも同じだと思うけど、僕らフリーランスって1年の間で収入の波があるじゃない?
──めちゃくちゃありますね。収入がゼロの月も普通にありますし。
でしょ? だからこれまでも2、3ヶ月収入がない時ってザラにあるから、そんなにどうしようって顔面蒼白になったりジタバタはしないよね。それよりもさっき言ったように将来生き残るために、今やるべきことをやった方が時間の使い方としてはよっぽどいいと思うだよ。
──確かにおっしゃる通りですね。
不安はあるけど気にしてもしょうがない
──国や自治体から「出かけるな、家にいろ」って言われてますが、私生活はどんな感じですか?
不要不急の外出はしてないよ。散歩か本屋かスーパーに行くくらいかな。行動範囲は半径10キロ以内。
──ストレスはないですか?
これからどうなっちゃうのかなっていう、今後の予想が全くつかない不安はあるよね。さっきもちょっと話したけど、僕自身の問題だけじゃなくてクライアントの業績の問題もあるわけじゃない? これからクライアントがどういうところにお金を使うようになるのかが見えてないから。今は気にしてもしょうがないから、あまり気にしないようにはしてるんだけど。
──ではイライラしたり不安で夜眠れないって感じでもないですか?
お酒呑んで寝ちゃう(笑)。
──それいつもじゃないですか(笑)。
そうそう(笑)。
──では特に困ってることもなく?
撮影に行けないから困ってるって以外には特にないかな。そもそも普段から在宅の仕事が多いからね。
手段と目的を履き違えてる
──政府の一連の新コロ対策についてはどう思います?
これは全体的な話なんだけど、法律とか制度って何かをするためにあるわけでしょ? でも日本の発想ってこの法律や制度があるからこのやり方しかできないって感じじゃないですか。いや本来の目的はそこじゃないでしょ、今は非常時なんだから非常時に発生した問題を解決するためには法律を変えるとか、非常時なりの対応をしなきゃいけないんじゃないの? って思うことがけっこう多い。つまり、手段にこだわりすぎちゃって本来の目的がどっかに行っちゃってるんですよね。
手段が目的になっちゃってるのはよくある話で、政府がやってることに限らずいろんなところで垣間見えちゃって、どうにかならないかなあとは思ってます。
伸びる業種に適応すべし
──ほかに今後について考えていることは?
さっきも話した通り、アフターコロナがどうなるかを考えて行動しないとね。絶対に同じに戻らないから。
──確かに。絶対悪い方向に変わりますよね。新コロで社会全体の経済活動そのものがシュリンクするのが恐いです。
そうだね。でも悪い方向に変わるかどうかはその人が置かれた状況や立場によるよ。確かに新コロの波で影響をもろにうけて深刻なダメージを負ってる業種はどうなるんだろうと心配だよね。だけどその一方で、インフラとか医療とかスーパーとか新コロ影響を受けない業種や、むしろ業績が上がる業種もあると思うんですよ。例えばデジタル関係はすごく伸びると思うから、自分の仕事もそっちに適応できるようにしておかないとは思ってる。
印刷媒体というか、リアルの物体にこだわってるといかんのかなあと思いますよ。今後モノは二極化するんじゃないかな。モノ自体に存在価値があるものとそうじゃないものに。例えば雑誌の存在価値って紙でできた物体そのものじゃなくて、情報にあるわけじゃないですか。だからそういうものはどんどんデジタル化していくと思う。でもモノとして持っておきたいなと思うものは残る。写真集でもどうしても紙として所有しておきたいというものは残るだろうけど、ごくわずかだと思うな。
──写真はデジタルでも全然きれいですもんね。
印刷物の写真って反射で見るけど、デジタルの写真はモニタで見るから透過なんだよね。だからモニタの方が色がきれいに見えるんだよ。
ただ、今は本や雑誌ってKindle版と印刷版で値段があんまり変わらないんだよ。だからたぶん印刷版の方が売れてるんだけど、印刷コストがないんだからもっとKindle版は安くなると思う。ただ、印刷版があるからKindle版が売れてるんだよね。それは認知度の問題が大きくて、例えば有名な著者の漫画や本の電子版はすごく売れるけど、そうじゃない無名の著者の作品は電子版だけ出しても、そもそも存在に気づいてもらえないから売れない。そこが難しいとこだよね。例えばSNSで何万人もフォロワーがいる有名な人がKindle版の写真集を出せばある程度は見込めるのかもしれないけどね。
自分の写真の価値をどう伝えるか
あとは、こないだブログにも書いたんだけど、僕の写真ってInstagramなどのSNSではあまり「いいね」されないんですよ。
──あんなにすごい写真なのになんでなんですかね?
SNSでバズる写真って見た人が自分でも簡単に撮影地に行って撮れそうと思える、身近な写真なんだよ。でも僕の撮ってる写真ってその対極じゃん。
──確かに。西澤さんの写真って全部「立入禁止の向こう側」ですもんね。
そうそう。だから見る人は絶対撮れないと思うから「いいね」を押してくれないんだと思う。そんな状況の中で僕の写真の価値を知ってもらうにはどうすればいいのかなっていうのを考えてる。
僕が思うにSNSでバズってる写真って今どきのものじゃん。言い方を変えると5年後、10年後には古くなっちゃう写真。その辺の差別化を意識して、今の価値基準とのズレを補正して、いいところはいいというアピールをしていかないといけない。それをどう頭の中で整理するかが最近のテーマかな。
──難しいテーマですね。
それはどの業種でもあると思いますよ。デジタル化が進むといろんなところで参入障壁が下がるから。まだどういうふうに世の中に対して自分の写真をPR、プレゼンすればいいのか、はっきりと見えていません。でも、その他の写真家と差別化したり、自分の写真の価値をきちんと知ってもらうために、それをしっかり考えてやっていかないといけないと思ってます。
やりたいこと・できることをどんどん発信すべき
それと、これまでの仕事を通じて自分が積んできた経験や磨いてきたスキルを使って企画を立てて、築いてきた人脈を駆使して企業に売り込んでいくことも積極的にしていこうと思ってます。ただ、いわゆる営業みたいのって、買い叩かれるだけだから、向こうから依頼してくれる状況にしなきゃいけない。
さっきも言ったけど、今までの僕の広報活動のメインだった写真集を出すことが今後難しくなりそうだから、それ以外の広報活動としてはWebサイトを充実させるのがベストかなと。
要するに、自分が今後やりたいことやできることをどんどん世の中に向けて発信しないと生き残れないってこと。誰も僕の心の中を読んで仕事を発注なんかしてくれないから、発信する必要は高くなってると思うんだよね。
──確かにその通りですね。今日は貴重なお話、ありがとうございました。
以前、山下さんにしてもらったインタビューの時って、これまでの経験を元に話ができたから割と理路整然と話せたけど、今日って特に今後についての話は僕自身、わからない渦中で喋ってるからまとまってないと思うよ。
──全然そんなことないですよ! すごく有意義なお話でした。僕自身も西澤さんのお話を聞いて、このままではいかん、何かやらねばとやる気が湧いてきました。
そう? それならいいけど(笑)。じっとしててもしょうがないから、お互いやれることをやりましょう。
──はい! 今後仕事として何か一緒にできれば幸いです! よろしくお願いします。
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