▲オカノヨシナリぱいせん
新型コロナウイルス(以下、新コロ)の影響で仕事や私生活がどう変わったか、今どんなことを考えているか、個人的対策、そして今後のプランなどについてオンラインでいろんな人に趣味でインタビューする連載企画「最近、どうよ?」。
第2回は、私が大学卒業後初めて入社したロードレース専門誌でお世話になった先輩(編集部的には私の方が先輩)で、現在は柔道整復師として介護施設で働いているオカノ ヨシナリさんにご登場いただきます。
新コロの影響で介護業界も厳しい状況だと報じられていますが、ヨシナリさんの場合はさらに忙しくなったとのこと。その理由を詳しく語っていただきました。長くなったので前後編2回にわけてお届けします。
(取材日:4月26日)
★noteにも書いてます。こっちの方が読みやすいです→https://note.com/takezo1969/n/n9ec416df2f6e
【プロフィール】オカノ ヨシナリ 1965年、東京都出身。印刷会社の工員→ロードレース専門誌『レーシングヒーローズ』(廃刊)→『サイクルサウンズ』(廃刊)→『ストリートバイカーズ』の編集・ライターを経て、映画ライターを志すも挫折。フリーのライターとしての自分に希望を見出だせず、2011年にメディア業界から足を洗う。介護業界への転身を志し、理学療法士になるべく専門学校に入学。しかし理学療法士資格取得の難易度の高さと高い経費に挫折。2014年に介護福祉士を取得し、訪問介護士として働き始める。あまりのギャラの安さに2018年に柔道整復師の資格を取得し、現在の介護施設に転職。プライベートでは2014年に2度目の結婚。バイクとカレーをこよなく愛し、現在はヤマハSR500に乗っている。20代から数えてこれまで4度の交通事故を経験、大怪我を負う。その保険金でBMWなど高級バイクを購入していることなどから、仲間内では事故成金と呼ばれている54歳。
▲25年くらい前、プライベートでバイクレースに出場するオカノ氏(写真中央)に、無理矢理ヘルパーをさせられていた私(写真左)
介護施設における柔道整復師の仕事とは
──最近、仕事どうすか?
新コロパンデミック以前と変わらない。むしろ忙しくなってる。
──マジすか? 今の仕事について教えてください。
柔道整復師として、都内の介護施設に勤めてる。ここで働き始めて2年くらいかな。ちなみに柔道整復師の主戦場は接骨院。介護施設に常駐して働いているのは全体の2割くらい。
デイサービスには大きくわけて2つ種類がある。朝から夜まで利用者がいる一日型と、半日しかいない半日型。オレが勤務しているのは半日型。
一日型は施設で本を読んだりテレビを観たりレクレーションをしたりして過ごす。中でも大事なことが3つある。?入浴する、?昼ごはんを食べる、?頭と身体を動かす、の3つ。この中でも一番重要なのが入浴。その理由は家族負担の中で一番重労働だから。それを通所で補うというのが一日型デイサービスの最大の目的なんだよ。
オレが勤務している半日型はそういうことは一切ない。リハビリが主目的のデイサービスで、高齢者が来て、体操や運動をして体の状態を維持するために通うという目的があるから。オレみたいな医療関係者が必要なわけ。
──ヨシナリさんの具体的な仕事内容は?
オレの仕事っていうのは、うちのデイサービスに通ってくる高齢者の体の状態を維持するサポート。仕事には大きくわけて3つある。まず1つが、機能訓練という運動の計画を立てること。利用者一人ひとり体力も違うし筋力も違うでしょ。だからまず、その利用者の筋力や関節可動域を把握しなきゃいけない。そのために体力測定やヒアリングをする。その作業がまず大事で、データを集めて、その人の運動機能向上の目標とオーダーメイドの計画を立てるわけよ。ちなみにはこれは介護保険法で決まってるんだけどね。
その後、計画に沿って運動を実施して、本人が実際にやれるかどうかを確認する。これが2つ目の仕事の指導。
──どんな感じで指導すんの?
まず口頭で「これからこんな目標と計画で運動していきましょう」と口頭で詳しく説明する。
──よくドラマとか井上雄彦大先生の名作『リアル』に出てくる高橋のリハビリを指導する人みたいに「あと◯回頑張って!」的な指導もするの?
確かに現場で利用者について指導はするよ。でもそんなに厳しくはしない。あくまでもその利用者のモチベーションを重視したいから。中にはあまり運動をやりたくないという人もいるから、そういう人には「無理しなくていいですよ、やりたくなったらやりましょう」と言ってる。
そもそもリハビリ対象者は普通の病院のように病気やケガで来てる人じゃなくて、年齢とともに自然と運動機能が衰えてる高齢者だからね。でもそのままにしとくとどんどん衰えて寝たきりになっちゃうから、そうならないためのリハビリなわけ。もっとも指導方針はやり方は人によるよ。もっと厳し目にやる柔道整復師もいるかもね。
──年齢的にいろんなところが弱ってきて、そこを強化するってこと?
いや、高齢者の場合は強化じゃなくて維持。維持するってことがけっこうハードル高いんだよ。
▲度重なる交通事故で4、5回入院している。もらい事故も多数。何度見舞いに行ったことか...
──なるほど。3つ目は?
モニタリング。目標を決めて計画を立ててリハビリを実施した後、その成果がどのくらい出てるかという成果確認だね。具体的には体力測定とヒアリング。目標をクリアしてたら次の目標を立てて実施して評価する。ひたすらこの3つを繰り返すわけ。
──じゃあやっぱり機能回復しましたっていうゴールはないのね。
そう。機能訓練の最大の目的は日常生活動作を「維持」することだから。
──その他の仕事は?
車での利用者の送迎もやってる。
──担当している人数は?
うちのデイサービスに通っている利用者すべて。常にだいたい80人くらいかな。柔道整復師はオレしかいないからそれを全部ひとりでやんなきゃなんない。
──多いね。
多いよ。泣けてくるよ。
細かい作業が山のように増えた
──話を大幅に戻すけど、新コロ後にさらに仕事が忙しくなったというのは?
うちは通所のデイサービスだから当然利用者はうちに通ってくるわけじゃん? まあ自分で通ってるんじゃなくてこっちが送迎してるんだけどさ。そうすると、利用者の家族が「今、新型コロナウイルスが流行ってるから、人が集まるところに行かないほうがいい。小池都知事も3密は避けろって言ってるから」とか言うわけよ。そしたら1日20人通ってたのが10人に減る。
──だったら逆に仕事は楽になるはずじゃん。
と思うだろ? それが違うんだな。利用者は減ってもリハビリの計画書は更新しなきゃいけないし、ヒアリングもしなきゃいけない。つまり利用者が来なくてもさっき話した計画と指導とモニタリングの中の指導が抜けるだけで、あとの2つはやらなきゃいけない。指導だって、「おうちでこれやってくださいね、やれてますか?」という電話確認が必要になったりするわけ。同時にケアマネジャーとの連絡が必要になるんだよ。つまり、「今この利用者さんはこの状態だけどこんなふうに指導しています」という報告をいちいちしなきゃいけないわけ。さらにケアマネジャーから、「この人、こうなってるんだけどどうしたらいいですか?」という問い合わせにも対応しなきゃなんない。だから実は通所する人は減ってもやることは山のようにあるわけよ。
もう1つは、さっき送迎も担当してるって言ったけど、会社から「通ってくる人が減ってるんだったら、普段2人で送迎に行ってるけど1人で行けるね」って言われて、送迎の負担が1.5倍に増えたりしてさ。意外とハードなんだよ。
──へーそーなんだ。そんなに忙しくなったのっていつくらいから?
4月の頭くらいかな。
さらにだぞ、2週間前に、今まで施設責任者やってた人が他の事業所が人手不足になったからにヘルプに行かなきゃいけなくなって、オレが施設責任者代理になっちゃったんだよ。
仕事量と残業時間が増えても給料は据え置き
──すげえ、出世じゃんw 給料もアップでしょ。
いやいや何言ってんだお前、給料なんて上がるわけないだろ。だって通所者が減ってるから会社的には減収になってるわけだから。
──そうなんだ。最悪だね。来る人減っても仕事は増えてしかも給料も上がらないってさ。
さらにまだある。介護施設って利用料を利用者から1?3割もらってあとの9?7割は介護保険で国からもらうわけ。最近、厚労省が利用者への電話の安否確認と体操アドバイスだけで通所していたのと同じとみなして、その8割分を国が払うよっていう臨時法体系になったのよ。
──じゃあいいじゃん。通所者が減っても国が補填してくれるわけだから。
いいと思うだろ? でもそれを受けるには、ケアマネと利用者にひとりずつ電話してサービス内容の説明をして了解を得る必要がある。1?3割とはいえ実際に通所していないのに15分くらいの電話で利用料を負担してもらうわけだから、人によってはノー・サンキューなわけよ。それをある程度は説得する必要がある。それ以外にも細々とした作業がいろいろ発生してるんだよ。それをシステムに乗せるための枠組みを作るのもオレの仕事になったから、そういう細々とした事務作業が増えてここ最近は柔道整復師としての本来の仕事ができてないわけよ。
──そりゃ確かに大変だ。
だろ? こんな感じで勤務時間中の労働の密度が上がってるし、今までほとんど残業しなくてよかったのに2時間くらい増えたんだよ。だからそれまでは給料安くても勤務時間が短いからいいかと思ってたんだけど、最近そのバランスが崩れてきた。ちょっと嫌?な感じ。
──残業代は?
出ない。いくらやっても給料は変わらない。そもそもオレは送迎やってるから昼休みがないんだよ。弁当を食べる10分くらいの休憩しかなくて、朝の8時から17時まではノンストップで仕事なわけ。だから昼休みがなくていいから、そのかわり残業しないよって感じでやってたんだけど、最近はそうも言ってられなくてさ。たまにゆっくりごはん食べたいなと思うよ。
──確かにそれは最悪だね。
モチベーションを保つのが大変です。
▲29歳の時、今は亡き『CAZ』の嫁さん大募集企画に登場したオカノ氏。まだメールなど普及していない時代だったため、応募方法は手紙。その受取先をなぜか私にされた。確か来たのは11通。そのうち実際に会った応募者は1名。その1名も会うなり「両親に会え!」と強要してくるサイコパス女だったためこの婚活は大失敗に終わる
感染したらしたでしょうがない
──日常的に人と接する仕事で、接触頻度を減らすわけにもいかないじゃん。新コロ感染の恐怖感とかないの?
それはねえ、もちろん全くないことはないよ。でもそれ言い出したらきりがないし、逆に恐怖感強かったらこの仕事はできないからね。みんな生活かかってるし。ていうかね、もっと言うと感染したら感染したでしょうがないかなって感じ。仮に感染したとしても、発症は発熱くらいじゃないかなと思うんだよね。基礎疾患もってないから。もしオレが糖尿病とか気管支炎とかもってたら嫌だけどね。
もちろんオレが発熱したら介護事業所は閉鎖しなきゃいけない。でも会社はしょうがないと思ってるらしくて、発熱したら報告してくださいとしか言われてない。
──今の所そういう人はいない?
発熱もないし、休んでる人も、出社拒否もないね。
仕事として淡々とやってるだけ
──すごいね。みんな自分が仕事しなきゃ困る人が大勢いるからという使命感をもって働いている感じ?
いや、オレ含めてそういう人はいないと思うよ。使命感というよりは仕事として淡々とやってる感じ。あれだよ、オレ福祉の仕事を始めて今年で9年だけど、あんまりね、オレ含め使命感むき出しって人はいない。
──マスクが足りてないという報道もあるけどどうなの?
うちは足りなくて困ってるってほどでもないかな。文京区が施設にくれたから。特にうちそんなに職員いっぱいいないからそれで事足りてる。
──やっぱマスクは1日で捨てるんじゃなくて何日か使ってんの?
うん。スニーカーと同じで1つのマスクをずーっと使ってると汚れるから、3つくらいをローテーションして使ってる。1個あたりに換算すると1週間くらい使ってるかな。
──けっこう使ってるね。
1日で使い捨てできるほど潤沢にあるわけじゃないからしょうがないよね。あとの予防策は手洗い、うがいだね。そういう地道なことをやるくらいしかないかなと。それと常にマスクはつけて、すごい近距離で喋ったりはしないというくらいかな。特に接触を避けたりちゅうのはないね。
──送迎もリハビリの指導もけっこう密になるよね。
そうね。車の中は密室だからね。だからもちろん「ちょっと寒いけど窓を開けますね」って利用者にことわってから窓開けて走ってるよ。
▲昨年12月、一緒に行った百里基地航空祭にて。ブルーインパルス航空展示中にも関わらずパンを頬張るオカノ氏。ブルーインパルスには一切興味ないとのこと
エクモの話題が出たときは本気でマズいと思った
──新コロ流行からこれまでで、一番危機感とか恐怖感もったのってどのタイミング?
志村けんが亡くなって、ECMO(エクモ)の話題が出た時かな。エクモってほら、人間の肺の機能を代替する、つまり肺の代りに血管の中に酸素を送り込む機械じゃん。でも機械の台数が少ない上に、1人の患者に繋いで管理するために医師やナース、技師など10人くらいの医療者がつきっきりにならなきゃいけないらしい。で、そのエクモを装備してる病院の医師が、「エクモを必要とする患者がこの先どんどん現れるだろうけど、うちの病院には3台しかないからそれ以上は受け入れられない」という話を聞いた時、医療現場が崩壊するんだな、ほんとにマズいと思った。
元々引きこもりでも苦にならない
──ほんとだね。そうなったらもう終わりだから、新コロに感染して発症しないようにするしかないよね。新コロ流行による生活面での変化は?
それはあんまりない。ただ帰宅してからの家で過ごす時間がやたら短くなった。週のうち半分くらいはオレが晩飯作るから、飯作って奥さんと食って、その後なんかしてたらあっという間に0時じゃんと。前は22時くらいの感覚だった。
──新コロ前に一緒によく行ってたトークライブも軒並み中止だからさびしいよね。予約してた「村田らむの『人間の怖い話』ナイト!!」が中止になったのは悲しかったなあ。
そうだね。ライブや映画館や呑み屋に行けなくなったから、その楽しみがなくなったのはつまんないよね。
──休みの日ってどうしてんの?
あんまり外に出ないで家の中にいることが多いね。
──新コロでステイホーム推奨になって時間を持て余すみたいないことはない?
オレはそもそも家の中で映画観るのが好きだから時間が足りないくらいだけどね。だって読みたい本もいっぱいあるし、観たい映画もまだたくさんあるしさ。逆に時間が足りないくらいだよ。あとはYouTube見てる。
──よく観るのは?
哲学系ユーチューバー・じゅんちゃんの「 哲学入門チャンネル」。これけっこうおもしろいんだよ。基本的に安倍一味をこき下ろす内容なんだけど、理路整然としてるし、理屈に無理がない。ちゃんと喋ってる。最近一日一回聞いてる。武田砂鉄を聞いてジュンちゃんを聞いてる感じ。
▲25年前くらい、ヘルパーとして無理矢理連行されたサーキットにて。知り合いの犬に面白半分に手を出したら思いっきり噛まれて右手から大流血したオカノ氏(写真左)を病院に連れて行ったのもいい思い出。(写真右が私)
──んじゃ特段ストレスはないと。
そう。家にいてストレス溜まると言ってる人も多くて、確かにオレも奥さんと一緒にライブとか映画とか呑み屋に行けないのはつまんないからその気持もわかるけど、他にやることはたくさんあるからね。
ただね、今の政府の対応見てると日本大丈夫かなって思っちゃうよね。オレは毎日バイクで通勤したり車で利用者を送迎してるとさ、町中がどんどん閑散としてくるのがわかるわけ。歩いてる人や走ってる車も激減しているし、飲食店はもちろん、普通の服屋さんや雑貨屋さんも店を閉めてるわけよ。明らかに街の景色が変わった。そうするとだよ、つまり日常的な経済活動がだいぶ止まって、初期の頃のニューヨークみたいに治安が悪くなったらどうしようと不安になっちゃうよね。道が空いてるから走りやすくはなってるけど、その分気持ち悪い感じもするよ。
──でもそれを味わえるのはある意味うらやましいな。オレもあんまり家から出ないからさ。出たとしても近所の店に買い物に行ったり、そこら辺を散歩したり走ったりするくらいだから。電車にも乗らないし、地元以外の町がどうなってるのか全然わからない。
ああ、そうか。あのね、一番変わったなと思うのが、出歩いている人、服装ががさつなタイプ、ジャージとスエットの人が増えたような気がする。しかもマスクしてるから余計もっさりしてる。
──あー着飾ってる人がいない。
そう。町中ってさ、着飾ってる人がそれなりにいるから町っぽいってのがあるじゃん。それがなくなってる。男も女も。あんまりひと目を気にしてないっていうかさ、そういう感じの人が増えた気がする。学生がいないからってのも大きいと思うけどね。
──オレは地元の商店街や公園は新コロの前と人出が変わらないから目にしてる風景は変わらないんだよね。さすがに花見の時期は人出が減ったけどそれでもそれなりにはいたしね。渋谷とか新宿とか東京駅近辺はかなり減ったかもしれないけど、それ以外はそんなに変わってない気がする。実際週末の湘南とかはものすごい人で激混みっていうニュースも流れてたしね。やっぱさ、自粛だけだと限界あるって。本気で接触8割減らしたいなら法律作って罰則を設けないと無理だよ。
安倍政権は罰則を設けるためには補償しなきゃいけないと思ってんじゃないの?
──それが嫌だからやんないってことだよね。
そうそう。いつまでお願いベースでやるのかと。
──どんだけ国民に金を払いたくないだよと。あととにかく対応が遅い!
自粛と補償はセットだろ
──じゃあこの流れで、新コロ発生からの安倍政権の一連の対応についてはどう思う?
ダメダメだと思うよ。やっぱりさ、営業するなと言うなら補償しないとダメだよ。フランスやドイツほどじゃなくてもさ、ライターとかカメラマンとかの個人事業主に補償しないってほんとにヒドいよね。てかほんとにやらないんだこの人達、って思ったよ。
──あいつら税金、自分らのもんだと思ってるからね。
思ってるよね、絶対。ブラックマヨネーズじゃないけどどうかしてるよと思うよ。税金払いたくなくなるよね。補償がないと収入途絶えるといきなりヤバくなるわけじゃん。
──その時に使うのが税金だよね。オレもこのままじゃ収入ゼロが続いて餓死しちゃうよ。
マジでシャレにならんよね。この期に及んで補償しないって、ほんとにみんなに死ねって言ってるのと同じだなと思うよ。オレはたまさか今働けてるからいいけどさ、極端な話フリーランスとか派遣の人とかほんとに死んじゃうと思うよ。
──マジでオレ含めてほんとにこれから死んじゃう人増えると思うよ。
そうだよね。安倍の大好きなトランプはすぐ補償のための金、たくさん出したぞ、なんでそんなとこだけ真似しないんだよって。安倍って基本スネ夫なのになんでそんなとこだけジャイアンの真似しないんだよって。
──わはは。確かに。
たぶんね、すべては他人事なんだろうと思う。安倍も麻生も神輿の上にいてさ、実際に動いているのは下の担いでる官僚じゃん。そういう人たちが勘違いしてるんだろうと思う。安倍や麻生がバカなのは今に始まったことじゃないし、逆に言えばあいつらがスケープゴートじゃないかと思うんだよね。もっとヒドいことしてる人たちは目に見えないところにいる気がするけどね。
あと国会議員が悪いのは当然なんだけど、でもその議員を国政に送っちゃたのは我々だらかね。
──オレは一回も自民党に票を入れたことがないからこうなったのは国民のせいだって絶対に言わせないけどね!
オレもそうだよ。投票率の悪さが招いたってことだよね。
普通に働けるのってありがたい
─今後については? もう自分の仕事を淡々としていくだけ?
今のところはね。しんどくなりすぎたら職場変えるけど。幸い柔道整復師の資格をもってると働き口には困らないからね。
──んじゃあんまり不安感もない?
ないねえ。でも当然だけど、いつ新コロが終息するかまだ見えないのは嫌だね。やりたいことがいつできるんだろうっていうね。だからってすごいイライラしたり落ち込んだりしてるって感じでもない。
──まあヨシナリさんは昔からその辺淡々としてるし、今も普通に働けてるからなんだろうね。
それはあるかもね。普通に働けるってありがたい話ですよ。
忸怩たる思いも
──もうさ、日中家でアニメ見ながら酒呑んでるとさ、全然疲れないし、昼寝も夜寝もがっつりしちゃうから、夜まともに寝られない。よくないこととか考え出して気づけば4時5時くらいでさ。完全に昼夜逆転してるんだよね。すごいよくないと自分でも思う。そういう意味ではほんとこの業界から早々に足洗って柔道整復師になってよかったね。大正解だよね。
うーん。でも今の仕事はオレの中ではやっちゃってる感が強いんだよ。
──やっちゃってる感とは?
つまりさ、オレは今勝負してないんだよ。言ってみればライターとか編集者に限らず、フリーでやってる人たちって常に自分の成果物で勝負しなきゃいけないわけじゃん。そこで勝ち負けがつくというかさ、そこでの評価が次の依頼に繋がる。評価が悪ければ仕事もらえないとかさ、そういう世界で働くってことじゃん。
──まあ確かにオレらは毎月の基本給というものがないから、できたものがすべてだからね。
そうでしょ? そういう勝負の場からオレは降りちゃってるわけだよ。それに対する未練というか忸怩たる思いはいまだにもってる。だからといってもう一回フリーのライターやるわっていうほどのモチベーションはないんだけね。でもその勝負の場から降りちゃってる今のオレというのを客観視した時に、残念だなという思いはある。
──でも納得してメディア業界から足洗ったんじゃないの?
納得なんかしてないよ。いまだにあれやっとけばよかったという、いわゆるやり残した仕事ってやつがちょいちょいあるからね。
──でも今のこの状況を考えると結果的にはよかったんじゃないの?
まあ結果的にはね。フリーライターやっていた頃も、オレ、フリー向きじゃねえなって思いながらやってたからね。
──足洗ったのっていつ頃だっけ?
43歳くらいかな。いよいよ来月の支払い困るぞと思ってなんかバイトしなきゃつって、4軒くらいレンタルビデオ屋とかネットカフェの面接を受けに行ったら軒並み落ちまくってさ。これが40の壁かと思ったね。
──そうかあ。その話はまた別の機会に詳しく聞かせてよ。でもさ、こうなってつくづく痛感するけど、オレのような社会に必要ないフリーライターみたいな職業のやつから仕事ってなくなっていくよね。わかってはいたけどやっぱそうだなと感じる。
ははは。まあそんなこと言ってもしょうがないからとりあえず生き残るために頑張るしかないよね。
──そうね。終息したらまたおもろい話を危機に阿佐ヶ谷ロフトとか行って、その後日高屋で呑みましょう。
なんでいっつも日高屋なんじゃい!
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